Fermentation Specimen Notes
味噌の樽、納豆の藁苞、キムチの甕。世界のあちこちで、人は容器の中に微生物を住まわせ、時間を発酵という仕事に変えてきた。この標本室では、7つの発酵食品を一つずつ棚に並べ、それぞれの菌と歴史と味を観察する。
大豆と麹と塩だけの組み合わせから、なぜあれほど複雑な旨味が生まれるのか。麹菌の働きと、地方ごとに分かれた味の系統を追う。
納豆菌という一つの微生物だけが主役になる、珍しい発酵食品。あの粘りの正体と、藁から始まった偶然の発見史。
唐辛子の辛さの裏で静かに進む乳酸発酵。気温が発酵速度を左右する、季節と対話する保存食のしくみ。
パン屋から買うのではなく、空気中の酵母を自分の粉と水の中で育てる。酸味の正体である乳酸菌との共生関係。
麹菌、乳酸菌、酵母の三段階リレーによって、大豆のタンパク質がアミノ酸の旨味へと変換されていく過程。
遊牧民が乳を持ち運ぶ知恵から生まれた、乳酸菌による保存技術。ブルガリア菌発見の逸話と、菌株ごとの個性。
腐敗と紙一重の場所で、特定のカビや細菌だけを選んで育てる熟成という賭け。青カビと白カビ、二つの道の分かれ方。